「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」を公表

2020年12月24日

教育関係者、有識者、権利者で構成する「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」(以下「当フォーラム」といいます。)は、このほど、授業を目的とする著作物利用に関するガイドラインにあたる「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」を決定しましたので公表いたします。

ご承知のとおり、授業目的公衆送信補償金制度は、新型コロナウイルス感染症が教育機関へ及ぼす影響に鑑み、2020年度に限り補償金を無償として、2020年4月28日に緊急的かつ特例的に運用が開始されました。

本運用指針は、2020年度限定で適用されることとなっていた「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」に代わって、2021年度からの本制度の本格実施に際して適用されるべきものとして、文化庁の助言を受けながら当フォーラムで検討を重ね、決定したものです。

大きな変更点としましては、授業目的での著作物の利用にあたっての「必要と認められる限度」や「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」について、基本となる考え方をより詳細に示したほか、初等中等教育での具体的な授業の場面を想定した「学校等における典型的な利用例」を追加しております。

なお、去る12月18日には、補償金の指定管理団体である一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)が文化庁長官に認可申請していた補償金額が認可され、2021年度から本制度が本格実施されることが正式に決まりました。2021年度からの授業目的での著作物の利用に際しては本運用指針をご参照くださるようお願いします。

当フォーラムは今後も運用指針の検討を継続し、合意が得られた事項については、本運用指針の改訂版として公表していく所存です。運用指針が多くの関係者にとってより理解しやすいものとなり,本制度が円滑に運用されることで、電子情報環境下において著作物を活用した質の高い教育・学習が実現することを願っています。

フォーラム共同座長
竹内比呂也(千葉大学副学長)
瀬尾 太一(日本写真著作権協会常務理事)

改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)
※お詫びと訂正「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」26頁の中段記載の「(絵画鑑定書事件< H22.10.31 知財高裁判決>)」の判決日の10月31日は10月13日の誤りでした。訂正してお詫び申し上げます。